2021年2月28日日曜日

贈与による所有権移転登記の費用

贈与契約により不動産の所有権を移転します。いわゆる『生前贈与』のことです。

〖基本費用〗

  • 登記1件につき、35,000円~


〖主な加算項目〗
  • 贈与契約書作成費用
  • 不動産の数およびその調査費用
  • 立会い費用等

〖主な減額項目〗

  • 関連する贈与で取得する名義人が複数、登記件数が複数
  • 例)父が長男と長女に贈与する場合➡2件の登記が必要であるが、35,000円×2とせず、1件あたり減額

〖主な実費〗
  • 登録免許税(印紙代):固定資産税評価額×20/1000
  • 謄本代
  • ※贈与税や不動産取得税にはご注意ください。

〖コメント〗
  • 税務対策の生前贈与は、税理士や税務署に事前確認されておかれるのが良いでしょう。

売買による所有権移転登記の費用

土地、建物を売買される場合、契約がまとまれば、権利関係や書類を調査して所有権移転登記をします。

〖基本費用〗
  • 登記1件につき、35,000円~

〖主な加算項目〗
  • 不動産の数およびその調査費用
  • 取引立会い費用
  • 契約書作成(個人売買の場合)
  • 売渡し費用等

〖主な減額項目〗
  • 関連する売買で取得する名義人が複数、登記件数が複数
  • 例)売主の土地と建物の名義人が異なる➡2件の登記が必要であるが、35,000円×2とせず、1件当たりを減額

〖主な実費〗
  • 土地:固定資産税評価額×15/1000の登録免許税(印紙代)
  • 建物:固定資産税評価額×20/1000の登録免許税(印紙代)
  • ※住宅用の減税、非課税法人の免税などがあります。

〖コメント〗
  • 売買契約に仲介業者が入る売買か、個人売買かにより内容が変わります。なお、仲介行為はできませんので、仲介費用はかかりません。

相続登記の費用

不動産の名義人がお亡くなりになられた場合、登記簿の「名義変更」を致します。一般的に『相続登記』と言われています。

〖基本費用〗
  • 登記1件につき、45,000円~

〖主な加算項目〗
  • 遺産分割協議書作成
  • 相続関係説明図作成
  • 相続人調査・相続人の数
  • 戸籍集めなどの証明書取得通数
  • 不動産の数

〖主な減額項目〗
  • 関連する相続関係で取得する名義人が複数、登記件数が複数
  • 例)父死亡➡母が取得する不動産と兄が取得する不動産がある場合、2件の登記が必要であるが、45,000円×2とせず、1件当たりにつき減額

〖実費〗
  • 固定資産税評価額×4/1000の登録免許税(印紙代)+戸籍・原戸籍・除籍代+役所等への郵送料+登記簿謄本代など

〖コメント〗
  • 司法書士業務のなかで、相続登記は最も費用を立てづらい業務の一つです。先代、先々代の名義が残っている、場所はよくわからないがとにかく不動産の数がいっぱいある、相続関係が広がり相続人がたくさん居る、相続人と音信不通であり連絡できない、などのように様々なケースがあり、費用も変わります。

  • 舞鶴市近郊の標準的な相続登記費用(司法書士報酬額)は、例えば、被相続人1人、相続人の数2~3人、不動産が自宅土地建物のような一般的なケース(特別な事情がないケース)で、戸籍集め・相続関係説明図作成・遺産分割協議書作成・登記簿調査など相続登記一式をご依頼の場合、実費を除き5~10万円くらいがこの地域の相場と思います。

  • 費用も大事ですが、先代やご家族の大切な財産を守ることが何よりも重要です。当事者との接し方ひとつで話がこじれてしまうケースも少なくありません。費用はさておき、信頼できる専門家にご依頼されることをおすすめいたします。

2015年4月5日日曜日

組合の役員(理事等)の変更登記、就任承諾書、印鑑証明書、登録免許税


1 登記事項
組合の役員について、「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」が登記事項である。

2.添付書面
(1)就任承諾書について、組合登記令25条において、商業登記法54条が準用されていない。だからといって、その役員と組合の関係が委任に基づくのであれば、原則通り、就任承諾書は添付書類になるものと思われる。
(2)就任承諾書の印鑑の印鑑証明書についてであるが、条文の構造が複雑である。根拠となるのは、各種法人等登記規則5条で、商業登記規則61条1項 、4項及び6項が準用されている。つまり、2項3項(新任の際の印鑑証明書)は準用されていないため、原則として印鑑証明書は不要である。
(3)商業登記規則改正(平成27年2月27日施行)の目玉である、住民票や印鑑証明書や身分証等の「本人との同一性を確認する書類」の添付の要否である。商業登記規則61条5項が準用されていないため、現在のところ「本人との同一性を確認する書類」は不要のようである。なぜ準用しないのかは不明であるが、平成27年2月27日以前の取り扱いから変更はない。ただし、6項は準用されているため辞任の際の印鑑証明書は必要である(※届出された代表印を押せば不要)。
なお、商業登記規則61条5項は準用されているため、代表者選定の議事録等の印鑑証明書は、株式会社等と同様の取り扱いである。

【補足】
 組合の役員変更登記の登録免許税は、課税する根拠がないため非課税である。
 

2015年3月31日火曜日

信用金庫の抵当権設定、取扱店の表示

1.抵当権設定登記の取扱店の表示について
 信用金庫の取扱店の表示については、原則として登記できない。そういう決まりになっているんだから仕方ないと思っていたが、例外がある。
 ある管轄の法務局の登記簿を見たところ、信用金庫の抵当権に堂々と(取扱店〇〇支店)の登記がある。どうやら、その地域の慣行により、現行においても取扱店の表示の登記を認めているらしい。まあ、それはそれで良いとして、その管轄以外の物件が絡む時に困ることになる。例えば次のようなケースがある。

Ⓐその信用金庫が他管轄に抵当権設定登記をする場合
Ⓑその信用金庫が自管轄に設定をし、次いで他管轄に設定をする場合
ⓒその信用金庫が他管轄に設定をし、次いで自管轄に設定をする場合

Ⓐの場合、他管轄が取扱店の表示を認めていなければ登記できない。全国的な取扱いであるから仕方ない。
Ⓑの場合、自管轄に先に抵当権設定登記をするのであるから、その地域の慣行に従って、取扱店の表示の登記をすべきであろう。ただし、他管轄に共同担保の設定(追加)登記を行う際は、原則として、取扱店の表示の登記はされない。
ⓒの場合、悩む。なぜなら、先行する他管轄では原則として取扱店の表示の登記はできないが、自管轄では取扱店の表示の登記ができるからである。この場合は、他管轄で取扱店の表示ができないことをベースにせざるを得ない。というのは、共同担保という性質上、後行の自管轄の設定(追加)の際はベースとなる抵当権の記載内容と同一(前登記証明書の記載と同一)にそろえるべきであるからである。

2.「信用金庫の取扱店の表示の登記はできない」というルールは絶対ではなく、地域により取扱いが異なるようである。
 令和2年から、取扱店の表示の登記が可能になったもようである。登記研究 866号 249頁  2020年4月30日 【質疑応答】