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2015年3月2日月曜日

調書判決による登記と相続証明書


登記の名義人が死亡、その相続人を被告とし、登記手続きを命じる確定判決を得て登記を行う際は、その判決理由中に「被告らが相続人の全員である」旨又は「相続人は被告らの他にいない」旨の記載があれば、戸籍等の相続証明書を法務局に提出する必要がないとされている。

これは、訴訟において戸籍等の相続証明書が提出され、既に相続人の全員であることが認定されているため、改めて登記の際に法務局に提出する必要はないという趣旨の取り扱いである。

所有権登記名義人死亡の場合の時効取得による所有権移転登記、抵当権や質権、地上権や賃借権の登記名義人死亡の場合の抹消登記など、登記実務において判決による登記は重宝されている。なぜなら、Ⓐ相続人が拡がりすぎて任意に登記の協力が見込めない場合や、Ⓑ権利が古すぎて戸籍等から相続人の全員を完全に証明できない場合など、訴外では処理困難なケースを解決に導くことができるからである。

しかし、落とし穴がある。
「被告〇〇らは、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。したがって、被告〇〇らにおいて請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして、これを自白したものとみなす。」旨(擬制自白)の記載がある、民事訴訟法254条の調書判決(いわゆる欠席判決)については、相続証明書を法務局に提出不要という取扱いがない。理由は、恣意的な判決による登記を防ぐためだとか。

そうすると、上記Ⓑのように、廃棄処分等により完全に戸籍等が集まらなかった時に非常に困る。苦労して登記手続きを命じる判決を得て、やっと最終目的の登記申請にこぎ着けたもかかわらず、必要書類が揃っていないものとして、問答無用で法務局に却下されるおそれがあるからである。こういったケースでは、擬制自白→調書判決とならなないように何らかの手を打つことになるであろう。

【追記】
改められました。
登記研究 819号 137頁平成28年3月11日 法務省民二第219号 民事局長通達