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2015年2月26日木曜日

リフォームローンの抵当権と住宅用家屋証明書


Q:リフォームローンの際に、住宅用家屋証明書を発行してもらい、抵当権設定登記の登録免許税の減税を受けられるのか?
A:租税特別措置法第75条において、「増築を含む」とされているのでその適用はある。

Q:では、どうやって証明するのか?
A:当地では、増築の登記がされた登記事項証明書(又は登記情報)並びに金銭消費貸借契約書又は抵当権設定契約書のコピー等を添付して証明する。(自治体により異なるかもしれない)

以上のとおりの取り扱いがあるのはそれで良いとして、実務上の問題点。
①今回の抵当権設定登記が、リフォームローンであるかどうかがわかりにくい。
外形的に、通常の(減税のない)抵当権設定登記と違いがないのであるから、リフォームローンということに気付かなければ、通常の抵当権設定登記として費用の計算をすることになるであろう。
②増築の登記が行われるのかどうかが事前にわかりにくい。
増築の登記は、土地家屋調査士が行うため、工事完了後にその登記が行われる予定があるのかどうかがわかりにくい。リフォームが行われたとしても、床面積に変更がない場合や面積が小さくなる場合もあり、この場合は、租税特別措置法第75条の適用はない。(※1)
③増築の登記が行われ、表題登記に変更が生じたことを知る機会が遅くなりがち。
抵当権設定登記の申請直前の登記簿を見てはじめてそれを知り、気付いた時には手遅れ(場合によっては不可抗力)ということもあり得る。

そもそも、租税特別措置法第75条「増築を含む」という文言に気付いていない人も割と居るのではないだろうか。リフォームローンの際には、金融機関の融資担当者や土地家屋調査士と綿密に打ち合わせを行っておく必要がある。

※1 必ずしも、増築登記→抵当権設定の順序となるわけでなく、便宜、抵当権設定→増築登記のパターンもある。この場合は、役所に対して登記事項証明書を提出し増築を証明できないため、住宅用家屋証明書を発行してもらえない、つまり、租税特別措置法第75条の適用外になるものと思われる。

【関連】
リフォームと登記
 

2015年2月22日日曜日

リフォームと登記、贈与や移転登記の考察


今流行のリフォームと登記について仮に考察してみたいと思います。

比較的大規模なリフォームは、築数十年など老朽化している場合も多い。そういった場合、建物の名義人が親であったり、資金を出す人と異なる場合もある。では、資金を出す人と、建物の名義人が異なるとどうなるか?

事例:甲太郎さん(父)所有の建物に、その子である乙子さんがリフォームする場合

乙子さんがリフォームした造作等(建築資材など)は、基本的には甲太郎さんの所有となる。なぜなら、民法242条によると、「不動産の所有者は、その不動産に従として【付合】した物の所有権を取得する。」と規定されているからである。つまり、乙子さんから甲太郎さんに贈与したというに考え方になりそうである。

ただし、乙子さんは「その【償金】を請求することができる。」 (民法248条)と規定されている。通常、親子間で償金を請求することは考えていないと思うので、やはり贈与という考え方になりそうである。この場合、リフォームした費用によっては、甲太郎さんに対して高額の贈与税の問題が生じる可能性がある。では、これらの問題をどのようにクリアするのかについて、以下の2つの案を。

リフォーム前に、甲太郎さんから乙子さんに建物を贈与し所有権(持分)移転登記をする。

・老朽化した建物の贈与であれば、固定資産の評価額も低いので贈与税が安く済む。もしくは、基礎控除額(110万円)以内に収まれば贈与税はゼロである。
・贈与後にリフォームすると、自分所有の建物について自己資金でリフォ-ムしただけのことであり、上記の【付合】や【償金】の問題が生じない。
・自己所有となるので住宅ローン減税(控除)の要件(の一つ)をクリアできる。
・甲太郎さんの名義を残すのであれば、持分移転登記を行い共有名義とする。

リフォーム後に、甲太郎さんから乙子さんに建物を代物弁済し所有権(持分)移転登記する。

・上記民法248条によると、乙子さんは甲太郎さんに費用償還請求ができるので、甲太郎さんは請求されると、基本的には応じなけばいけない。そこで、代物(お金でなく建物)で弁済するという考え方である。
・代物弁済をすると、譲渡所得税や贈与税の問題が生じる可能性があるので注意が必要である?
・自己所有となる時期によっては、住宅ローン減税(控除)の問題が生じる?
・共有名義とした方が有利であれば、持分移転登記をする。

※以上のように、司法書士の立場より仮に考察してみたが、税理士(贈与税、住宅ローン減税の論点)、土地家屋調査士(増改築による表示変更登記の必要性)、建築士(建築確認申請の必要性)、金融機関(リフォームローン審査の要件)などなど、各専門家に関わる論点があるため、何を重視するかにより、登記の方法を考える必要がありそうである。

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